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皆さんこんにちは!
株式会社駒館石商の更新担当の中西です!
さて今回は
大切な家族を偲ぶ~享年~
ということで、今回は、「享年」の本来の意味や由来、年齢の数え方の違い、そして“命をどのように数えるか”という文化的背景まで、深くてやさしい視点で解説いたします。
日本では、故人の葬儀や法要、墓石の刻銘などで「享年(きょうねん)」という言葉が用いられます。
けれども、「満年齢と違うのはなぜ?」「享年と行年って何が違うの?」など、いざ自分で使う場面になると、正確な意味を知らずに戸惑う方も多いのではないでしょうか。
「享年」は、亡くなった方がこの世に生きた“年齢”を表す言葉です。
「享(きょう)」=“授かる・うけたまわる”という意味
「年」=人生で受け取った年数
すなわち「享年」は、“この世で授かった命の年数”を表す、仏教的かつ儒教的な表現なのです。
この言葉は、中国古代の儒教文化に由来し、人生そのものを“神仏や天から授かったもの”として敬意を持って数えるという思想が込められています。
多くの方が混乱するのが、「享年〇歳」と書かれていても、それが実際に何歳だったのか分からないという点です。
項目 | 満年齢 | 数え年(享年) |
---|---|---|
生まれた時点 | 0歳 | 1歳 |
誕生日の加算 | 毎年、誕生日に+1 | 正月(1月1日)に+1 |
表現例 | 2024年4月に70歳になった | 同年中は71歳(享年71) |
つまり、享年は原則「数え年」での表記になります。
享年(きょうねん):この世に授かった命の年数(仏教的な用語)
行年(ぎょうねん):人生を修行として歩んだ年数(儒教・仏教の中間的表現)
📌 意味合いはほぼ同じで、どちらを使っても問題はありませんが、享年の方が一般的かつ丁寧な響きを持つため、近年ではこちらが主流です。
日本では、古代・中世から「享年」は死者に敬意を払う表現として使われてきました。
武士や文化人の墓石には「享年○歳」と彫られている例が多数残っています。
たとえば、徳川家康は「享年75歳」(満73歳)と記録されています。
このように、享年=数え年の風習は仏教儀礼として根付いてきたのです。
現代でも、以下の場面では「享年」が使われます
葬儀の死亡通知(会葬礼状)
位牌や墓石の刻字
過去帳・法事の案内文
📌 表記する際は数え年にするのが正式ですが、満年齢を使う人も増えています。
例:満69歳 → 数えで70歳 → 「享年七十歳」と記載
最近では、喪主やご遺族の意向により、
「享年〇歳(満〇歳)」と併記する
「享年」ではなく「行年」や「満〇歳」とする
全く表記をしない(自由葬・無宗教葬)
など、柔軟な対応も一般的になっています。
享年という言葉の背景には、単なる年齢のカウントを超えた、日本人の“命に対するまなざし”が隠されています。
命は与えられたものであり、預かりものである
一年一年を授かるように生きるという感謝の姿勢
亡くなった方の「生きた証」を丁寧に見つめ直す文化
これらの心が「享年」という二文字に込められているのではないでしょうか。
享年は単なる「年齢の表記」ではありません。
それは故人が歩んできた人生に対する感謝と敬意の表現であり、残された私たちが心を込めて贈る“言葉の供養”です。
なぜこの年数だったのか
どんな人生を歩んだのか
残されたものに何を教えてくれたのか
そうした問いを抱きながら、私たちは「享年〇歳」の意味を、ただの数字としてではなく、心に刻まれる“命の時間”として受け止めていくのです。
皆さんこんにちは!
株式会社駒館石商の更新担当の中西です!
さて今回は
大切な家族を偲ぶ~戒名~
ということで、今回はこの「戒名」について、その歴史・宗教的意義・地位・時代による変化を詳しく解説しながら、現代社会における戒名の在り方について考えてみましょう。
日本の仏教文化に根ざした葬儀や供養の中でも、特に「戒名(かいみょう)」という言葉は、私たちが故人を偲ぶときに必ずと言っていいほど耳にします。
しかし、「戒名ってなぜ必要なの?」「名前と何が違うの?」「なんで高いの?」といった疑問を持つ方も少なくありません。
戒名とは、仏教において出家者が仏門に入った証として授かる名前です。
つまり本来は、在家の名前とは異なる、“仏弟子としての正式な法名”という意味合いを持っています。
「戒」=仏の教え(戒律)を守るという誓い
「名」=その誓いを持つ者に授けられる名前
本来、出家・得度を経て授かるものですが、在家信者でも生前や死後に「仏弟子としての道を歩む」意味で授けられることが多くなりました。
戒名は宗派や寺院によって異なりますが、一般的には次のように構成されています
例:釋 大信院釋了賢居士
釋(しゃく):釈迦牟尼仏の弟子であることを示す(多くの宗派で使われる)
院号:特別な功績・寄進に対して与えられる名誉称号
道号・戒名:仏弟子としての精神的修行名
居士・大姉:在家信者の位階(性別により使い分け)
戒名の起源は中国の仏教にあり、日本では奈良時代~平安時代にかけて導入されました。当初は本格的な出家者にのみ授けられていました。
しかし、中世(鎌倉〜室町)以降、在家信者にも戒名を授ける風習が広がり、江戸時代には庶民階級まで普及します。
特に江戸幕府が寺請制度(檀家制度)を整備したことで、すべての国民が“どこかの寺の檀家になる”ことが義務化され、死後に戒名を授かることが一般化しました。
江戸時代以降、戒名には社会的ステータスの象徴という側面が強くなっていきます。
豪商・大名などには「院殿」や「大居士」などの高位の戒名
寄進や支援に応じて院号・道号が追加される
💰 ここから、「良い戒名をもらうにはお金がかかる」という“経済的位階”の概念が浸透していきました。
近年、戒名に対する価値観は変化しています。
「本当に必要なのか?」
「高額すぎるのでは?」
「形式ではなく、心が大事では?」
こうした声を背景に、次のような新しい選択肢も生まれています:
生前戒名(寿戒名):生きているうちに授かる。死後慌てず、意味を理解できる。
自分で戒名を考える:生前の信仰や人生観に基づき、自ら命名。
戒名不要(俗名葬):宗教色を避け、家族葬や自由葬で対応。
一方で、戒名には単なる名前以上の役割もあります。
故人が仏の世界に入る証としての意味
家族や遺族が故人に対して誠意を表す手段
位牌や過去帳、法要などで故人の霊を記す正式名称
現代の自由な選択の中でも、戒名という形式が持つ精神性や文化的価値は、今なお重みを持っています。
宗派 | 特徴 | 位号例 | その他 |
---|---|---|---|
浄土真宗 | 戒名ではなく「法名」 | 釋○○(男女共通) | 居士・大姉を使わないことが多い |
日蓮宗 | 「法号」と呼ぶ | 日○○(日号がつく) | 釈はあまり使用しない |
禅宗(臨済・曹洞) | 一般に戒名と呼ばれる | 居士・信士・童子など | 院号・道号がつくことも |
真言宗 | 通常の戒名形式 | 居士・大姉など | 梵字を使った位牌も |
戒名は、本来仏門に入るための精神的な誓いのあらわれであり、
故人が仏弟子として生き、あの世でも正しく導かれるための名前です。
現代ではその形式や費用がクローズアップされがちですが、
本来の意義を知ることで、「戒名を通じてどう故人を想うか?」という問いに立ち返ることができるのではないでしょうか。