オフィシャルブログ

大切な家族を偲ぶ~文字が放つ存在感~

皆さんこんにちは!

株式会社駒館石商の更新担当の中西です!

 

さて今回は

大切な家族を偲ぶ~文字が放つ存在感~

 

 

石に刻まれる文字は、単なる情報ではない。
そこに宿る“美しさ”が、見る人の心を鎮め、祈りを導く。

名前彫りの世界において、「書体」は命である。
どんなに正確に彫っても、書体の選び方ひとつで、墓石の印象はまったく変わる。


1. 書体の種類

墓石に使用される代表的な書体には、次のようなものがある。

  • 楷書体:最も一般的で、読みやすく整った印象。格式がある。

  • 行書体:筆の流れが自然で、柔らかく優しい印象。

  • 草書体:芸術的で流麗。個性を重視する場合に選ばれる。

  • 隷書体:古典的で安定感があり、歴史を感じさせる。

また、戒名などは宗派ごとに好まれる書体が異なる。
浄土真宗では楷書体、曹洞宗では行書体、といった違いもある。

職人は、宗派・墓石の材質・家名のバランスを見ながら、最も調和する書体を選ぶ。


2. 書の「線」を石に変える

筆で書かれた文字は、太さに抑揚がある。
しかし、石に彫るとその立体感がなくなりやすい。
だからこそ、彫刻では“筆の勢い”を再現するための技術が求められる。

例えば「心」という字。
中心の縦画は、少し強く、そして最後に柔らかく抜く。
これを石に落とし込むには、彫刻刀の角度を数度変えながら打つ必要がある。

わずかな力加減で、線の表情が生まれる。
その線こそが、“故人の人格”を表す。


3. 深さと影

彫りの深さは、文字の印象を決定づける。

浅く彫れば柔らかく上品に、深く彫れば力強く重厚に。
日光の角度によって影の出方が変わり、文字に立体感が宿る。

職人は、現場の向きや照明を考慮して彫刻の深さを決める。
「北面だから、やや深く」「西日が入るので影を浅めに」
それはまるで、石に光をデザインする仕事である。


4. 墨入れの技術

彫刻が終わったあとは、文字に墨や塗料を入れる。
これを「墨入れ」と呼ぶ。

墨入れは、ただ塗るだけではない。
塗料の粘度・乾燥時間・拭き取りのタイミングを慎重に調整しなければ、
文字の輪郭が滲み、線の美しさが損なわれてしまう。

経験豊富な職人ほど、塗料の流れを“目で感じる”ことができる。
その呼吸のような作業が、完成した文字に命を与える。


5. まとめ

書体とは、その家の“心の姿”である。
そして、職人が彫り込む線には、故人への敬意が宿る。

美しく刻まれた文字は、百年経っても人の心を打ち続ける。
それが、書と彫刻が融合するこの仕事の深みだ。

 

お問い合わせ

 

apple-touch-icon.png